• 離れて暮らす親に、しっかり栄養のある食事を食べて欲しい
  • 元気でいるか見守れる方法があったらな

そう思ったとき、どんな制度やサービスが使えるのかは、意外と知られていません。 高齢者の親の食事を支える方法を、公民の両方から一緒に整理していきましょう。

結論

高齢の方の食事を支えるしくみは、大きく3つあります。

  1. 市区町村の配食サービス ── お弁当が届き、手渡しで様子も見てもらえる。助成がある場合も
  2. 介護保険のヘルパー ── 家に来て、買い物・調理・食事のお手伝いをしてくれる
  3. 民間の宅食 ── 条件がなく、どなたでもいつでも頼める

どれが使えるかは、お住まいの地域の「地域包括支援センター」で教えてもらえます(※5)(※10)。 どれか1つに決める必要はなく、組み合わせて使えます。

食事が整うと、親御さんはご自分のペースで毎日を過ごせます。離れて暮らすご家族にとっても、安心できる毎日につながります。

高齢者の食事を支える3つのしくみ

高齢の方の食事を支える3つのしくみには、「お弁当が届く」サービスと、「人が来てくれる」サービスがあります。

表1:高齢者の食事を支える3つのしくみ(2026年9月調査時点)

しくみ 何をしてくれるか 使える人と費用
1.市区町村の
配食サービス
お弁当が届く
手渡しで様子も見てもらえる
自治体によって違う
助成がある場合も(※3)
2.介護保険の
ヘルパー
ヘルパーが家に来てお手伝い
買い物・調理・食事介助
(お弁当は届きません)
要支援・要介護の認定を受けた方
または、基本チェックリストで当てはまった方
費用の1〜3割(※2)
3.民間の宅食 お弁当が届く
手渡しの会社なら声もかけてもらえる
どなたでも
全額自己負担

出典:厚生労働省ほか(※2)(※3)/2026年9月2日調査時点

「配食サービス」と「宅食」の呼び方について

この記事では、お弁当を家に届けるしくみ全体を「配食サービス」と呼びます。そのうち、市区町村が行うものは「市区町村の配食サービス」、民間の会社が行うものは「宅食」(宅配弁当)と呼び分けます。どちらも食事を届けるしくみで、厳密な決まりはありません。

親御さんの様子から選ぶ 向いているサービス

どのサービスが向いているかは、親御さんの体の状態や、何に困っているかで決まります。

表2:親御さんの様子から選ぶ

親御さんの様子 向いている
サービス
向いている理由
・自分で温めて食べられる
・献立や買い物が負担
・民間の宅食
(冷凍でまとめて届く)
・好きなときに食べられる
・まとめて届くので、冷凍庫にストックできる
・ひとり暮らしで、
元気でいるか気になる
・市区町村の配食サービス
・手渡しの宅食
・届けるときに様子を見てもらえる
・家族への連絡のしかたは、自治体や会社によって違う
・台所に立つのがむずかしい
・食べるのに手助けがいる
・介護保険のヘルパー ・家に来て、買い物・調理・食事介助をしてくれる

ここからは3つのしくみを1つずつ、してくれること・使える人・費用・相談先の順にみていきましょう。

1. 市区町村の配食サービス 見守りをかねた公的なしくみ

市区町村の配食サービスは、お弁当を届けながら安否確認もする、公的な見守りのしくみです。ただし、使える人・費用・回数は市区町村ごとに違います。

国の要綱にも「一人暮らし高齢者に対する見守りとともに行う配食」と書かれています(※1)。市区町村が委託した事業者などが自宅まで届け、手渡しを基本に、届けるときの安否確認を兼ねているのが特徴です。

介護保険の「総合事業」として配食を行っている市町村は、全国で349市町村(20.0%)です(※4)。ほかに、市区町村が独自に高齢者支援として行っている配食もあります。

市区町村の配食サービスを使える人 3つのパターン

使える人の条件は、市区町村ごとに決められていて、大きく3つのパターンに分かれました。

表3:市区町村の配食サービスを使える条件(2026年9月調査時点)

パターン 条件
認定がなくても使える 年齢や世帯、所得で決まる
(例:75歳以上/市民税非課税世帯)
介護保険の認定が前提 要介護・要支援・事業対象者であること
介護サービスを使っていることが条件 認定を受けたうえで、すでに介護サービスを利用していること

出典:各自治体の公式ページ(※3)/2026年9月2日調査時点

市区町村の配食サービスの回数

回数は「昼か夜の1日1食」が基本ですが、月1回・週1回と決まっているところもあります。

自治体によって、届け方もさまざまです(※3)。

  • ボランティアが作ったお弁当を、月1回届ける
  • 市区町村が指定した民間の会社の中から、利用者が選んで申し込む
  • 回数が月1回・週1回と決められている

足りない日は、民間の宅食と組み合わせることができます。

市区町村の配食サービスの費用と助成

「助成あり」でも、お弁当代が安くなるとは限りません。何に助成が出るかは、自治体によって3通りあります。

調べた10の自治体では、どの形でもお金は市から事業者へ渡り、利用者はその分を差し引いた額を払う形でした(※3)。

表4:助成の3つのパターン(2026年9月調査時点)

何に助成するか 利用者が払う額
① お弁当代から差し引く お弁当代から補助額(1食150円〜430円など)を引いた額
② 払う額が決められている 決められた一定の額(1食270円〜544円など)
③ 配達と安否確認の経費だけ お弁当代は全額+経費の一部(20〜60円)

出典:各自治体の公式ページ(※3)/2026年9月2日調査時点

③では、お弁当代は安くなりません。助成が当たっているのは「届ける手間」のほうです。国の考え方も「配食は食材費の補助を行う趣旨ではない」としています(※9)。

[!warning] 気をつけたいこと

  • お住まいの市区町村にあるとは限りません。 まず、あるかどうかから確かめます
  • 自治体の案内を見るときは、「誰に出る助成か」「自分が払う額はいくらか」の2つを確かめます

市区町村の配食サービスの相談先

相談先は、地域包括支援センターです。部署の名前を探さなくても大丈夫です。

配食の担当部署の名前は自治体ごとに違い、確認した8つの自治体はすべて別の名前でした(※3)。地域包括支援センターは、自治体によって「高齢者あんしんセンター」「高齢者相談センター」などの名前のこともあります(※3)。市区町村の窓口で「地域包括支援センターはどこですか」とたずねれば、案内してもらえます。

2. 介護保険のヘルパー 家に来て、食事を手伝ってもらう

介護保険のヘルパーは、お弁当を届けるのではなく、家に来て買い物・調理・食事介助を手伝ってくれるしくみです。

介護保険のヘルパーの説明図。「買い物・調理・食事介助」と書かれ、①スーパーで食材を選ぶヘルパー、②台所で高齢の女性の食事を手伝うヘルパーの写真。相談は地域包括支援センター(お住まいの地域)、申請は市区町村の窓口(担当部署)と書かれている。

介護保険のヘルパーを頼める人

頼めるのは、要支援・要介護の認定を受けた方か、「基本チェックリスト」で当てはまった方です。

基本チェックリストで当てはまった方を「事業対象者」と呼びます(※5)(※9)。

要支援・要介護の区分を決めるのは、市区町村です。市区町村の職員などによる聞き取り調査(認定調査)と、かかりつけのお医者さんの意見書をもとに、介護認定審査会の判定を経て決まります(※12)。

認定がなくても頼める「基本チェックリスト」とは

要介護認定を受けていなくても、基本チェックリストという質問票で当てはまれば、介護保険の中の「総合事業」(市区町村が動かすしくみ)のサービスを使えます(※5)。

使えるのは、要支援の認定を受けた方と同じ総合事業のサービスです。認定を申請中の方も、結果を待たずに始められます(※9)。ただし、訪問看護や福祉用具の貸与には、要支援の認定が必要です(※9)。

チェックリストは地域包括支援センターの窓口で受けられます。「認定を受けていないから」とあきらめる前に、一度たずねてみてください。

介護保険のヘルパーにしてもらえること・してもらえないこと

してもらえるのは、ご本人の暮らしのための家事と食事のお手伝いです。ご家族のための家事は頼めません。

してもらえること

  • 生活援助 ── 買い物、調理、後片づけ
  • 身体介護 ── 食事のお手伝い(食事介助)

してもらえないこと(※11)

  • 同居するご家族のための買い物、ご家族の部屋の掃除
  • ご本人の分とご家族の分を、いっしょに調理すること
  • 草むしり、ペットの世話

ただし、介護保険を使わない自費の「保険外サービス」として、同じ事業者に頼める場合があります(※11)。

「同居している家族がいると、使えませんか」

同居のご家族がいるというだけで、使えないと決まるわけではありません。ご家族が高齢・介護疲れ・仕事で不在といった事情があれば、必要と認められて使える場合があります(※6)。担当のケアマネジャーか地域包括支援センターにご相談ください。

介護保険のヘルパーの費用

費用は、かかった額の1割〜3割です。所得によって変わります。

ただし、食材費は別です。ヘルパーに作ってもらう場合も、材料費は自分で払います(※2)。

[!warning] 気をつけたいこと

  • お弁当は届きません。 来てもらう日以外の食事は、別に考える必要があります
  • 何を頼めるかは、ケアプランで決まります。表にあることを全部頼めるわけではありません(※7)

介護保険のヘルパーの相談先

すでに介護保険を使っている方はケアマネジャーへ、まだの方は地域包括支援センターへ。

認定を受けていない方も、地域包括支援センターが相談の入口になります(※5)(※10)。

「配食サービスに、介護保険は使えますか?」

お弁当そのものの代金に、介護保険は使えません。介護保険法にもとづいて公表されている26種類54サービスの中に、配食は入っていないためです(※8)。

ただし、公的な配食がまったくないわけではありません。1章の市区町村の配食サービスが、介護保険の総合事業や市区町村独自の高齢者福祉として行われています(※1)(※9)。

3. 民間の宅食 条件なしで、どなたでも

民間の宅食は、年齢や認定の条件がなく、どなたでもいつでも頼めます。体調や好みに合わせて選べるのが強みです。

民間の宅食(宅配弁当)の説明図。「体の状態に合わせた一食」として、ふつうのお弁当・きざみ食・やわらか食・ムース食・制限食(塩分控えめ・たんぱく質調整・糖質を控えた)の5つのお弁当が並ぶ。相談・注文は各事業者の窓口・ウェブサイトへ、と書かれている。

民間の宅食で選べる食事の種類

ふつうのお弁当だけでなく、塩分を控えたい・やわらかくしたいなど、体の状態に合わせて選べます。

表5:民間の宅食で選べる食事の種類(2026年9月調査時点)

食事の種類 こんなときに くわしく
普通食 献立を考える負担を減らしたい/栄養を補いたい 普通食について →
塩分・糖質・カロリー・たんぱく質を控えた食事 体のために控えたいものがある 制限食について →
たんぱく質をしっかりとれる食事 たんぱく質をしっかりとりたい たんぱく質について →
やわらか食・きざみ食・ムース食 かむ力・飲み込む力に合わせたい やわらか食について →

出典:各社の公式ページを当サイトで確認(2026年9月2日調査時点)

各社のコースは、サービス一覧にまとめています。

民間の宅食の届き方 毎日手渡しと冷凍でまとめて

届き方は、毎日決まった時間に手渡しで届くものと、冷凍でまとめて届くものの2つです。

毎日の手渡し 冷凍でまとめて
合う人 誰かに会う機会をつくりたい/冷凍庫に空きがない/生活のリズムをつくりたい 好きなときに食べたい/受け取りの手間を減らしたい/離れて暮らす家族が頼みたい
気をつけたいこと 届く時間に家にいる必要がある 冷凍庫の空きが必要

手渡しで届く会社では、届けるときに声をかけてもらえることがあります。わたしたちが調べた中で、対面で手渡ししてくれるのは6サービスでした。くわしくは配食サービスの安否確認でしてくれることをご覧ください。

冷凍の場合、置き配に対応している会社や、冷凍庫を無料で貸し出している会社もあります。ご家族が代わりに注文して、実家へ届けてもらうこともできます。

民間の宅食の費用

助成はなく、お弁当代は全額自己負担です。値段は、会社とコースによって変わります。

比べるときは、1食の値段に送料も足して見るのがおすすめです。同じくらいの値段に見えても、送料を足すと差が出ることがあります。

1食の値段と送料を、会社ごとに並べて比べる →

民間の宅食の選び方

「ぴったり診断」では、あなたの希望をかなえられる会社を絞り込めます。

お住まいの地域で頼める会社を1〜2分で絞り込む →

離れて暮らす親のために、まず何から始めるか

迷ったら、相談窓口に電話しましょう。親御さんの様子を伝えるところから始められます。

  1. 電話する ── すでに介護保険を使っているなら担当のケアマネジャーへ。まだなら地域包括支援センターへ。お住まいの市区町村の窓口でも受け付けています(※5)
  2. 様子を伝える ── 食事・買い物・調理・体調で気になることを、そのまま伝えます
  3. 使えるものを教えてもらう ── 認定の有無にかかわらず相談でき、ご家族からの相談も受けます(※5)(※10)
  4. 足りない日を埋める ── 市区町村の配食サービスが週に何回かなら、残りの日は民間の宅食という選び方もできます

一度にすべてを決めなくて大丈夫です。民間の宅食には、週1回・1食から試せる会社もあります。

高齢者の配食サービスよくある質問

Q. 配食サービスと宅食は、何が違いますか。

A. どちらも食事を届けるしくみで、厳密な使い分けはありません。公的なものは「配食サービス」と呼ばれることが多く、民間では「宅食」「宅配弁当」と呼ばれることが多いです(民間でも「配食」と呼ぶ会社もあります)。「配食」は高齢の方向け・手渡しの意味を含むことが多く、「宅食」は冷凍でまとめて届くものも含みます。

Q. 1食いくらくらいですか。

A. 頼み方によって、払う額の決まり方が変わります。

頼み方 実際に払う額
① 民間の宅食をそのまま頼む お弁当代の全額
② 市区町村の配食(払う額が決まっている型) 1食270円〜544円(確認した自治体)
③ 市区町村の配食(補助額が決まっている型) お弁当代 − 補助額(補助は1食150円〜430円など)

出典:各自治体の公式ページ(※3)/2026年9月2日調査時点

民間の各社が1食いくらかは、サービス一覧にまとめています。

Q. ヘルパーに来てもらいながら、市区町村の配食も使えますか。

A. ある市では、入院中や、食事が出る介護サービス(ショートステイ・施設への入所など)を使った日は配食を使えない、と決められていました。ヘルパーの生活援助は、使えない側に入っていませんでした。ただしこれは1つの市の例で、書いていない自治体のほうが多いのが実際のところです(※3)。

Q. 要介護認定がなくても頼めますか。

A. 民間の宅食なら、どなたでも頼めます。 市区町村の配食は自治体によって条件が違い、認定がなくても使えるところもあります。

Q. 毎日頼まないといけませんか。

A. いいえ。週1回・1食から頼める会社があります。1食だけ試せるところもあります。

Q. 見守りって何ですか。

A. 手渡しで届く会社では、届けるときに声をかけてもらえることがあります。応答がないときの決まりも、会社によって違います。くわしくは配食サービスの安否確認でしてくれることをご覧ください。

まとめ:高齢者の食事を支える3つのしくみ

  • 高齢の方の食事を支えるしくみは、市区町村の配食サービス・介護保険のヘルパー・民間の宅食の3つ
  • 市区町村の配食サービスは、使える人も費用も自治体によって違います(※3)
  • 介護保険のヘルパーで来てもらえるのは人で、お弁当は届きません。認定がなくても、基本チェックリストという入口があります(※5)(※9)
  • 民間の宅食は全額自己負担。そのかわり条件がなく、どなたでも頼めます
  • 食事は、栄養素を控えたり、強化したり、またかむ力に合わせた食事を選べます

親御さんにどれが利用できるかは、お住いの地域包括支援センターに相談しましょう。

頼れる選択肢を知って、食事から安心の生活を実現していきましょう。

出典

本文中の(※1)〜(※12)は、下の番号に対応しています。

※1 厚生労働省「地域支援事業実施要綱」p.15「その他生活支援サービスの事業内容」(改正後全文・2026年9月17日確認)

※2 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」(2026年8月27日確認)

※3 各自治体の配食サービスの案内ページ(2026年8月27日・9月1日確認)

※4 厚生労働省老健局老人保健課「介護予防・日常生活支援総合事業等(地域支援事業)の実施状況(令和5年度実施分)に関する調査結果(概要)」p.16(2026年9月17日確認)

※5 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用の流れ」(2026年9月14日確認)

※6 厚生労働省「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」(平成21年12月25日 老振発1224第1号・2026年8月27日確認)

※7 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」(2026年9月2日確認)

※8 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」(2026年9月14日確認)

※9 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」(改正後全文・2026年9月17日確認)

※10 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「公表されている生活関連情報について(地域包括支援センター)」(2026年9月17日確認)

※11 厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」(平成30年9月28日 老推発0928第1号・老高発0928第1号・老振発0928第1号・老老発0928第1号/2026年9月23日確認)

※12 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」(2026年10月3日確認)

いずれも上記の日に各公式ページで確認した内容です。制度の内容・金額・条件は変わることがあります。お申し込みの前に、各自治体・各社の最新の案内を必ずご確認ください。

各サービスの内容は、当サイトが2026年9月2日に各社の公式ページで確認したものです。