親には元気でいてほしい。 でも、毎日通ったり、毎回食事のお手伝いに行くことは難しい—— そんなふうに感じることは、ありませんか。
「配食サービス」と聞くと、介護が必要になった方が使うもの、という印象があるかもしれません。
結論:配食サービスには、市区町村が見守りをかねて行う公的サービスと、好きなときに誰でも頼める民間の宅食の2種類**があります。さらに、介護保険で認定を受けた方には、生活援助として食事に関する買い物・調理・食事介助など、心身の状態に合わせたサポートが受けられます。届くお弁当は、一般的なものから、塩分やたんぱく質を調整したもの、やわらかいものまで幅広く選べます。
※自治体の配食サービスは、あらかじめ民間などの宅配業者を選定されている場合と、自分で民間の宅食を選ぶ形式があります。お弁当の種類は、選択した宅配業者によります。
食事のことが整うと、親御さんはご自分のペースで毎日を過ごせます。離れているご家族にとっても、少しでも安心できる毎日につながります。
高齢者の配食サービスとは|公的な配食と民間の配食のちがい
高齢の方の自宅へ食事を届ける配食サービスには、市区町村が行う公的なものと、各社が行う民間のものがあります。
2つの違いは、公的な配食サービスには費用の助成があり、利用できる条件がありますが、民間のものは条件がなく誰でも利用可能で、費用は全額自己負担です。
表1:高齢の方の食事を支える3つのしくみ(2026年9月調査時点)
| しくみ | 何をしてくれるか | どの制度か | 利用できる人 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 介護保険の 生活援助 |
ヘルパーが来て、家事を手伝う (お弁当は届きません。何をするかはケアプランによります) |
介護保険 | 要介護・要支援の 認定を受けた方 |
費用の 1〜3割を負担(※2) |
| 市区町村の 配食サービス |
お弁当が届く | 市区町村独自の 高齢者福祉サービス (介護保険とは別) |
自治体によって違う(※3) | 助成がある 場合がある(※3) |
| 民間の 配食サービス |
お弁当が届く | 制度の外 | どなたでも | 全額自己負担 |
出典:厚生労働省ほか(※2)(※3)/2026年9月2日調査時点
気を付けてほしい!ポイント
この3つのサービスは、使える条件がそれぞれ異なります。 特に、市区町村の配食はサービスは、お住まいの市区町村によって大きく条件が変わります。 まずはお住いの市区町村の地域包括支援センターや市の担当する課などへご確認ください。 ※ それぞれ使える条件が違いますこちらも参考してください。
① 介護保険の食事の支援は、お弁当ではなく「人が来る」かたちです
介護保険には、生活援助の中に、食事に関する援助(ヘルパーが買い物や調理、食事介助をしてくれるサービス)が含まれています。お弁当が届くわけではないので、注意が必要です。
そして、認定を受けたら自動的に使えるというものではありません。
厚生労働省の通知には、生活援助は「適切なケアプランに基づき」「自ら行うことが困難であると認められた」家事の支援である、と書かれています(※6)。
買い物に行く、食材を切って調理する、食事のお手伝いをする——このうち何を、どれくらい行うかは、ケアプランで決まります。
ケアプランは、ケアマネジャーがご自宅を訪問して、心身の状況や生活の環境を確かめたうえで、ご本人・ご家族と話し合って作ります(※7)。
ですので、介護保険を使えば必ず調理をしてもらえる、というわけではありません。 その方にとって必要だと判断されたことが、計画に入ります。
なお、ケアプランの作成に利用者の負担はありません(※7)。「うちの場合はどこまでお願いできるのか」は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。
② 市区町村の配食サービスは、市が独自に行っている高齢者福祉のサービスです
お弁当が届くのは、こちらです。介護保険とは別の、市区町村独自の高齢者福祉サービスとして行われています。
国の調査では、介護保険の制度の中にある配食だけを数えても、**全国349の市町村(全市町村の20.0%)**が実施していて、令和6年3月のひと月に33,110人が利用しています(※4)。ここに、市区町村独自の配食は入っていません。
ただし、介護保険のしくみの中に配食を置いている自治体もあります(※3)。位置づけそのものが、自治体によって違います。
③ 民間の配食サービスは、どなたでも頼めます
年齢も、要介護認定も、条件になっていません。1食から、週1回から頼める会社もあります。
そのかわり、費用は全額自己負担です。申し込みは各サービスに直接おこないます。
ただし、それぞれ使える条件が違います
市区町村の配食サービスは、利用できる人の条件が市区町村によって違います。
確認できた自治体では、大きく3つのパターンに分かれていました(※3)。
表2:市区町村の配食サービス「使える人」の3パターン(2026年9月調査時点)
| パターン | 条件 |
|---|---|
| 認定がなくても使える | 年齢や世帯、所得で決まる(例:75歳以上/市民税非課税世帯) |
| 認定が前提 | 要介護・要支援・事業対象者であること |
| 介護サービスを使っていることが条件 | 認定を受けたうえで、すでに介護サービスを利用していること |
出典:各自治体の公式ページ(※3)/2026年9月2日調査時点
確認した8つの自治体のうち、認定がなくても使えると書かれていたのは2件だけでした。「認定がなくても使えます」とは、一括では言えません。
1日に届くのは1食まで、という市もあります
使える回数についても、市区町村によって書き方が違いました。
- ある市では「1日1食、昼食または夕食」(※3)
- 別の市では「週7回を限度として1日1食」(※3)
- 回数を明記していない市もあります
「毎日届く」=「1日3食」ではありません。 届くのは1日1食(昼食か夕食のどちらか)というのが、確認できた範囲での共通点でした。
条件も回数も自治体ごとに違いますので、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターにご確認ください。
「宅食」「宅配弁当」との違い
「宅食」「宅配弁当」と呼ばれるものも、多くは民間の配食サービスです。厳密な決まりはありません。
ただ、「配食サービス」は公的な制度でも使われる言葉で、高齢の方向け・手渡しが前提のことが多い。「宅食」「宅配弁当」は年齢を問わず、冷凍でまとめて届くものを含みます。
言葉で区別しきれないので、この記事では**「食事の種類」と「届き方」**で見ていきます。
配食サービスの費用の目安と、公的な助成のしくみ
民間の配食は、お弁当代を全額ご自分で払います。
市区町村の配食には助成があり、その分だけ負担が軽くなります。 ただし助成のしくみは自治体によって違い、同じ「1食◯円」でも意味が変わります。
民間の配食サービスの費用
お弁当代が、そのまま自己負担になります。補助はありません。
そのかわり、条件がなく、1食から試せる会社もあります。
市区町村の助成には、2つのしくみがあります
ここが、いちばん誤解の生まれやすいところです。
表3:市区町村の配食サービス 助成の2つのしくみ(2026年9月調査時点)
| しくみ | 何が決まっているか | 実際に払う額 |
|---|---|---|
| ① 補助額を決める型 | 市が出す補助の額(確認できた範囲で1食150円〜400円台) | お弁当代 − 補助額。選ぶお弁当が高いほど、自己負担も増えます |
| ② 自己負担額を決める型 | 利用者が払う額そのもの(確認できた範囲で1食270円〜544円) | 決められた額 |
出典:各自治体の公式ページ(※3)/2026年9月2日調査時点
①の「1食150円」は、補助の額であって、お弁当の値段ではありません。 ここを読み違えると「150円で食べられる」ということになってしまいます。
なお、お弁当代のほかに、配送などの経費が別にかかる自治体もあります。 「1食◯円」と書かれていても、それが何を指した金額なのかは自治体によって違います。窓口で「結局いくら払うことになりますか」と確かめるのがいちばん確実です。
いずれも、全国を調べたわけではありません。 確認できた自治体での話としてお読みください。
2つの制度を併用できるかは、自治体によって違います
市区町村の配食サービスと、介護保険のサービス。この2つを同時に使えるかどうかも、自治体によって扱いが違います。
ある市では、入院中や、食事が提供される介護サービス(ショートステイ・施設への入所など)を利用した日は、配食サービスを使えないと決められていました(※3)。一方で、ヘルパーが調理をする生活援助は、その対象に入っていませんでした。
つまり判断の基準は「その日、ほかで食事が出るかどうか」でした。ただしこれは1つの市の例で、明記していない自治体のほうが多いのが実際のところです。
相談先は、地域包括支援センターです
配食の担当部署の名前は、自治体ごとに違います。確認した8つの自治体は、すべて名前が違いました(※3)。
共通してご案内できるのは、地域包括支援センター(自治体によって「高齢者あんしんセンター」などの名前のこともあります)です。
助成の有無・金額・条件は市区町村ごとに違い、変わることもあります。お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターにご確認ください。
配食サービスで選べる食事の種類
配食サービスで選べる食事は、ふつうのお弁当だけではありません。
塩分やカロリーを控えたもの、たんぱく質をしっかりとれるもの、かむ力に合わせてやわらかくしたものなど、いろいろな種類が用意されています。
表4:配食サービスで選べる食事の種類(2026年9月調査時点)
| 食事の種類 | こんなときに |
|---|---|
| 普通食(通常食) | 献立を考える負担を減らしたい/足りない栄養を補いたい |
| カロリー・糖質調整食 | エネルギーや糖質を控えたい |
| 塩分調整食 | 塩分を控えたい |
| たんぱく調整食 | たんぱく質を控えたい |
| 高たんぱくの食事 | たんぱく質をしっかりとりたい |
| やわらか食・きざみ食・ムース食 | かむ力・飲み込む力に合わせたい |
出典:各社の公式ページを当サイトで確認(2026年9月2日調査時点)
会社によっては、さらに細かく分かれています。ある会社では、朝食や栄養補助食品まで含めて10種類以上のコースがありました。
たんぱく質は「控える」と「しっかりとる」の2つがあります。ここだけ気をつけてください
同じ「たんぱく質」でも、控えるための食事と、しっかりとるための食事があります。
名前が似ていますので、ここだけは確かめてから選んでください。
数値を公開している会社で見ると、控えめのものは1食10g前後まで、しっかりとれるものは1食20g以上でした。
1食あたりで見るのには理由があります。くわしくは高齢者のたんぱく質は、なぜ1食ごとに見るのかをご覧ください。
調整食を扱っているサービスを見てみる
調整したコースを持っているサービスは、探さないと見つかりません。 普通食だけを扱う会社のほうが多いためです。
当サイトでは、各社の公式ページで確認した内容を一覧にまとめています。
配食サービスの届き方|毎日の手渡しと、冷凍でまとめて
届き方は2つです。毎日、決まった時間に手渡しで届くものと、冷凍でまとめて届き、好きなときに食べるもの。 暮らし方に合うほうを選べます。
毎日の手渡しが合うのは、こんな場合
- ひとり暮らしで、誰かに会う機会をつくりたい
- 冷凍庫に空きがない
- 決まった時間に届くことで、生活のリズムをつくりたい
手渡しで届く会社では、届けるときに声をかけてもらえることがあります。くわしくは配食サービスの安否確認とはをご覧ください。
なお、わたしたちが調べた中で、対面で手渡ししてくれるのは6サービスでした。多くはありません。
[!warning] 気をつけたいこと
配達の時間に合わせる必要があります。 昼食は12時まで、夕食は18時まで、というように届く時間帯が決まっている会社が多く、時間の細かい指定はできないことがほとんどです。
冷凍でまとめて届くのが合うのは、こんな場合
- 傷みにくく、好きなタイミングで食べられる
- 受け取りの手間が少ない
- 離れて暮らしていても頼みやすい
冷凍便で届くので、置き配に対応している会社もあります。ご家族が代わりに注文して、実家へ届けてもらうこともできます。
[!warning] 気をつけたいこと
冷凍庫の空きが必要です。 10食・20食とまとめて頼む場合、家庭用の冷凍庫では入りきらないことがあります。小型の冷凍庫を用意される方もいます。
週に何回か、1食だけ——という使い方もできます
1か月まるごと頼まなくてかまいません。
- 負担の大きい日だけ
- 夕食だけ
- ご家族が様子を見に行けない週だけ
わたしたちが調べた中では、回数の縛りがない会社が69サービス中65ありました。始めるときも、やめるときも、それほど身構えなくて大丈夫です。
体の状態が変わっても、そのつど選び直せます。週1回から始めて必要になったら増やす、普通食から調整食に変える、といったこともできます。
高齢者の配食サービスによくある質問
Q. 配食サービスと宅食は、何が違いますか。
A. どちらも食事を届けるしくみで、厳密な決まりはありません。 ただ「配食サービス」は公的な制度でも使われる言葉で、高齢の方向け・手渡しが多い。「宅食」は会社が使う言葉で、年齢を問わず冷凍でまとめて届くものを含みます。
Q. 配食サービスは介護保険の対象ですか。
A. 配食そのものは、原則として対象外です。 介護保険で食費は給付の対象になりません(※2)。ただし、介護保険の「総合事業」として市区町村が行う配食は別で、こちらは助成がある場合があります(※1)。
Q. 1食いくらくらいですか。
A. 頼み方によって、払う額の決まり方が変わります。
| 頼み方 | 実際に払う額 |
|---|---|
| ① 民間の配食をそのまま頼む | お弁当代の全額 |
| ② 市区町村の配食(自己負担額を決める型) | 1食270円〜544円(確認した自治体)。無料の自治体もあります |
| ③ 市区町村の配食(補助額を決める型) | お弁当代 − 補助額(補助は1食150円〜400円台) |
出典:各自治体の公式ページ(※3)/2026年9月2日調査時点
Q. 毎日頼まないといけませんか。
A. いいえ。週1回・1食から頼める会社があります。いつでも解約できる会社や、1食だけ無料で試せるところもあります。まず試してみて、合わなければやめられます。いろいろ試してみて構いません。
Q. 要介護認定がなくても頼めますか。
A. 認定がなくても、栄養が足りているか心配になることはあります。民間の配食なら、どなたでも頼めます。 市区町村の配食は、自治体によって条件が違います。
Q. 見守りって何ですか。
A. 手渡しで届く会社では、届けるときに声をかけてもらえることがあります。応答がないときの決まりも、会社によって違います。くわしくは配食サービスの安否確認とはをご覧ください。
まとめ:あなたの毎日に、選べる配食サービスがあります
- 配食サービスには、市区町村が行う公的なものと、好きなときに頼める民間のものがあります
- 市区町村の配食には、無料のところもあれば、1食150円〜400円台の助成が出るところもあります(自治体によります)(※3)
- 民間の配食は全額自己負担。 そのかわり条件がなく、どなたでも頼めます
- 食事は、控えたいものにも、しっかりとりたいものにも、かむ力にも合わせて選べます
栄養の数値やバランスをしっかり考えてくれる選択肢が、いつでもあります。無理なく、毎日の食事を楽しんでいただけたらと思います。
「うちは週に何回か頼んでるの。私も気が楽だし、本人も気に入ってるみたい。」
そのくらいの気持ちで始められます。
いま決める必要はありません。こういう選択肢があると知っておくだけで十分です。
出典
本文中の(※1)〜(※7)は、下の番号に対応しています。
※1 厚生労働省「地域支援事業実施要綱」(老発第0609001号/最終改正 老発0717第5号・令和7年7月17日)p.15「その他生活支援サービスの事業内容」
※2 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
※3 各自治体の配食サービスの案内ページ
- 渋谷区「高齢者配食サービス」/小山市「配食サービス」/高崎市「高齢者配食サービス」/富士宮市「配食サービス」
- 浜松市「配食サービス」/柏市「配食サービス」/仙台市「自立支援配食サービス」/長久手市「高齢者配食サービス事業」
- 名古屋市「配食サービスの概要」 https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/company/shitei/haishoku/
- 岡崎市「ひとり暮らし高齢者見守り配食サービス」 https://www.city.okazaki.lg.jp/kenko/kourei/1012326/1012331/1004110.html
- 郡山市「配食サービス活用事業」 https://www.city.koriyama.lg.jp/soshiki/67/6307.html
※4 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況」(令和6年3月)
※5 厚生労働省「地域包括支援センター」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
※6 厚生労働省「同居家族が居る場合における訪問介護サービス等の生活援助の取り扱いについて」(平成21年12月25日 老振発1224第1号)
※7 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」 https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group1.html
いずれも2026年9月2日に各公式ページで確認した内容です。制度の内容・金額・条件は変わることがあります。お申し込みの前に、各自治体・各社の最新の案内を必ずご確認ください。
各サービスの内容は、当サイトが2026年9月2日に各社の公式ページで確認したものです。
